番外編

福井県鯖江市の「めがね職人の技術で」OHラジカルを10倍に!

from Staff

ナノイーデバイスが開発されたのは2003年(ペルチェ式)。さらなる脱臭効果・除菌力、そして即効性を向上させたナノイーXが2016年に登場する。従来のナノイーはOHラジカルの発生量が4,800億個/秒だったが、ナノイーXはコレを10倍に増加。OHラジカルの発生量を4兆8,000億個/秒にし、酸化力をさらに高めたのだ。

 現在発売されている機器のほとんどはナノイーXに置き換わり、除菌・脱臭効果が高くなっている。

 

より多くのOHラジカルを閉じ込めたことで、1個の水カプセルだけで多くの分子構造を破壊できるので、除菌力が強く、脱臭力も強く、そして素早く脱臭できるようになった

「生活5大臭」のタバコ、ペット、生乾き、焼肉、汗を素早く脱臭

浮遊する菌を攻撃し、素早く無力化する

 しかしナノイーから「ナノイーX」への機能強化には、困難なブレイクスルーがあったという。

ナノイーデバイスの中では、たとえ小さいとはいえ高電圧の雷を発生させている。並大抵の金属では放電が繰り返されるうちに、針状の先がどんどん劣化してしまう。そこで各社「チタン」という金属を使っている。チタンは、軽くて錆びづらく、非常に硬いので、めがねのフレームとしてもよく使われている金属だ。

しかし、難点が硬すぎて加工しづらいこと。

とくにナノイーデバイスの中に入っている針は「長さ5mm、太さ1mmほどのもの」だ。硬い上に小さいため、加工中の部品を固定するだけでも大変。

細いピンの先が丸くなっているチタン製の部品

 また「ナノイーX」では、それまで幅を持って放電していたエネルギーを、4箇所の針状の部分に集中させ、より多くのOHラジカルを生成する。そのため針先や取り付け位置などに精度が要求され、針の製造の難しさに加えユニットとしての製造も非常に難しい。

中央の針から上部の針(写真では3点だが手前にもあるので実際は4箇所)に集中して放電させる

キレイに均等に放電しているのが分かる

 

 そこでパナソニックは、チタン製のめがねの極小部品を作ることに関しては日本一の技術を持つ「福井県鯖江市のめがね工場」に協力を依頼し、特殊な「ナノイーX用の針の部品供給」を受けている。

 

2016年から使われているナノイーX発生ユニット

 数年前は、数多くのメーカーが「イオン! イオン!」と謳っていたが、今ではその声を潜めてしまっている。

唯一大きな声を上げているのはパナソニックで10倍のOHラジカルを発生できるようになり、水のカプセルで長時間浮遊し、衣類などに染み込んでいるニオイや菌も撃退できる。これらは福井県鯖江市のめがね職人の協力と、製造技術のブレイクスルーがあってからこそなのだ。

ナノイーの水カプセルの「水」はどこから持ってくるの?

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この「ナノイー」を発生させるデバイス(素子)には「ペルチェ素子」と呼ばれるものが使われているという点だ。

化学番組が好きな方は、これだけで見出しの答えを導き出せるかも!?

白い薄い石のようなものから電線が出ているペルチェ素子。

USBに差し込むと飲み物を「冷たく」できるドリンククーラーや、ホテルや病院の音の出ない小型冷蔵庫などで使われている

 

「ペルチェ素子」というのは、電気と熱エネルギーを変換する素子。簡単に言うと、ベルチェ素子に電気を流せば、片面がドライアイスのように冷たく、もう片面がガンガンに熱くなる。逆に片面をキンキンに冷やして、反対面を火であぶると電気が起きるというとても面白い電子部品だ。

 

中央の棒をペルチェ素子でキンキンに冷やすと、冷たい飲み物を入れたグラスのように結露を起こし、空気中から水が得られる

 

「OHラジカルの発生方法」は各社どこも同じで、針状の電極に高電圧をかけて、小さな雷を発生させている。パナソニックの場合は、この針を「ペルチェ素子」で冷やして結露(冷たいコップに水滴がつく原理)させ、水のカプセル用に使っているのだ。

 今では2cm角ほどの小さなデバイスだが、時を遡ると面白い。最新のデバイスは、熱を出すペルチェ素子の反対側を、金属のステーに逃がして放熱している。しかし10年遡ると、ペルチェ素子は大きく、熱を逃がすためにパソコンや家電によく使われる放熱器(ヒートシンク)が入っている。

 

2011年からの第4世代ナノイーデバイス。大きさは2cm角ほど

 

10年前の2008年は、ペルチェの熱を放熱するため、でっかいヒートシンクを抱えている

しかも遡るごとに放熱器が大きくなっているのが面白い。さらに時代を遡り、初代ナノイー発生装置になると、放熱器がなくなり、コップのようなものが!!!!

これは空気清浄機用のナノイーデバイスだが、ヒートシンクはなく、その代わりに直接コップに水を入れておくというものみたいだ。こうしてみると技術の進化を感じます。

2005年の第1世代のナノイーデバイスは、発生器より大きなヒートシンクが必要だった

 

初代はペルチェ素子で水を得るのではなく、コップに水を入れていた! 2002年の発生装置は大きなマグカップサイズだ

 

 

 

 

OHラジカルを水のカプセルに閉じ込め「寿命を10分延長」したナノイー

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 パナソニックのナノイーが、他社のイオン系の除菌や消臭効果と決定的に違うのは「OHラジカルの寿命」という事らしい。OHラジカルそのものを空気中に放出した場合の寿命は「およそ数ミリ秒程度」とされている。

しかしパナソニックのナノイーは、(酸化できる力を持った)OHラジカルを最大で10分間も空気中に浮遊させられるそうだ。その秘密はOHラジカルを水のカプセルに閉じ込めて飛ばしているからだという。

 

長時間浮遊できるので、たくさんのOHラジカルを部屋の隅々まで届けられる

 その水滴の大きさは、直径約5~20nm。霧吹きでシューッとやると、水滴が白く見えるほど大きいが、沸騰したやかんから出る水蒸気は目に見えないほど小さい。ほとんど目に見えない花粉をゴルフボールぐらいの大きさとすると、ナノイーの水のカプセルの大きさは、小さなビーズほどしかないという事で良さそうか?

              ごく小さいミストカプセルなので、カーテンやじゅうたん、ソファや衣類の中に染み込んでいるニオイにまで届きニオイの根源を分解できる

 と、ここでツッコミを入れる方も大勢いるはず。「水は”H2O”なので、OHラジカルはHを取り込んで機能しなくなっちゃうじゃん!」というものだ。その点をパナソニックの方に聞いてみると、FAQでもあるかのように即答。

 「OHラジカルは水に溶け込むと過酸化水素に変わります。過酸化水素は、一部OHラジカルに戻るので、時間が経っても反応性を維持できます」との事

OHラジカル単体で放出されると、空気中の物質と反応してしまい、OHラジカルの酸化力がなくなる。しかし、ナノイーはOHラジカルを水のカプセルに閉じ込めるので、OHラジカルは空気中の成分と反応しないため、酸化力を長く保てる

 

 OHラジカルとして、十把一絡げにされてしまうパナソニックのナノイーだが実はOHラジカルの効き具合が他社とは桁が違うほど強力なのだという。

つまり他社の機器でOHラジカル単体を直接空気中に放出している場合は、発生器の近くでは効果を発揮するものの、発生器から遠くにある場合、衣類やじゅうたんなどに染み込んだニオイや菌にはほとんど無力というわけなのだ。

その点ナノイーは、空中に浮遊できる時間が長い上に、水のカプセルにOHラジカルが入っているので、機器から遠い場所やカーテン、じゅうたんなどにも有効。それはなぜか? カーテンやじゅうたんなどに水のカプセルが付着すると、水カプセルが割れてOHラジカルが一斉に染み出すから。(クラスター爆弾や散弾銃、カプセル状の薬のようなイメージ)なので衣類の中などに染み込んだニオイも消臭できるというわけなのだ。

この説明では対ウイルスになっているが、対ニオイの分子に対しても同じ。水のカプセルが割れると、中からOHラジカル軍団が飛び出して一斉攻撃を仕掛ける。だから早い。だから強力!

 だからパナソニックは「衣類の脱臭ハンガー」や「靴の脱臭器」といった物にまで商品の幅を持って売り出せているのだ。いやはや驚きである。

【ここでのポイント】

・パナソニックのナノイーは、OHラジカルを水のカプセルに閉じ込めている
・OHラジカル単体で放出するより10万倍寿命が長くなる
・極小の水カプセルは繊維の奥まで入り込むので、染み込んだニオイを根本から消臭できる

 

酸素が他の分子にくっ付いて酸化させるオゾンとどう違うの?

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消毒やニオイ消しとして古くからあるのが「オゾン」という気体を使ったもの。オゾンは、O2(酸素)にもう1個のOがくっついたもので、化学式で書くと「O3」

 Oが2つの「O2」はカップルのように結びつきが強いのだが、余分にくっついてしまったOは例えるとどちらかの友達がたまたまデートについて来ちゃった感じかな?(かなり嫌な感じやけど)だからすごく居心地が悪い。

成り行きでついてきたOは隙を見て「O2」から離れたい。だからO3が空気中に放出されると、お邪魔虫のOがスキあらば周りにある分子にくっつき酸化する。こうして2人で安定した「O2」と、Oにくっつかれた「酸化○○」という分子になるのだ。だからO3も非常に短命である。

「OHラジカル」に非常によく似ているが、相手の分子を酸化させ、除菌や消臭を行なうところは一緒。また短命という点でも一緒。違いは相手の分子を酸化させる力が「OHラジカル」より少し弱く、相手を酸化させたあとに残るのは、OHラジカルが「水(H2O)」で、オゾン(O3)が「酸素(O2)」という違いだ。

 オゾン自体はそれほど危険なガスではない。スーパーに並ぶ野菜は大半がオゾンを水に溶かした「オゾン水」で洗浄されているし、トイレ自身が自分を洗う高機能トイレにもオゾン水が使われている。昔は「塩素」を含んだ薄い漂白剤で洗うのが主流だったが、塩素は残留するため、現在は野菜に限らず肉や魚、食品加工工場などでもオゾンに切り替えてきている。また、病院やホテルの清掃などにもオゾン(気体)が使われているほど一般的。ただし、狭い空間に長時間オゾンを放出する(高濃度になる)と、人に害を及ぼす場合がある。とはいえ、一般家庭用として販売されているオゾン発生器は「非常に低濃度」なので危険性を心配することはない。あくまで高濃度オゾンを発生させる業務用機での注意だ。

【ここでのポイント】

・オゾン(O3)も酸化作用はあるが「OHラジカル」に比べると酸化力が弱い
・OHラジカルは非常に短命
・高濃度のオゾンは人に害を及ぼすが、家庭用の発生器は低濃度で安心

ナノイーの解説をちょっと

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ナノイーについて少し書いてみます。

どのメーカーも、O(酸素)とH(水素)がくっついた「OHラジカルという分子」が働いて、菌をやっつけたり、ニオイを分解したりする図がカタログに掲載されている程度です。(オゾンの場合は3つのO)。

「OHラジカル」というのが各社のキーワードになっているが、どう作用するのかイマイチわからないですよね?

「OHラジカル」というのは、非常に乱暴者で、スキがあれば他の人が持っているHを横取りして、Hに0が2つという分子になりたがる。

そう「H2O」つまり水だ。

 一方、Hを1個取られてしまった分子は、別の分子に変化する。たとえば鉄のクギをしばらく放置しておくと、表面がボロボロに錆びて鉄とは違う物質になってしまうのと同じだ。これは「酸化」という現象で、鉄が鉄でなくなってしまったというわけ。

鉄のクギを放置しておくと茶色く錆びてしまう。コレは表面が「酸化鉄」という鉄とは違う物質に変化してしまったから。

 

さて、科学の不思議なところだがある物質に酸素がくっつくから「酸化」というのは納得できるが、OHラジカルのように「ある物質からHを奪ってしまうこと」も化学の世界では酸化というらしい。

まぁ「OHラジカル」もニオイや菌を”酸化”させることで、菌を抑制したり消臭したりしていると考えて問題ないかな?

水色のOHラジカルさんは、とにかくHをひったくる! (パナソニック「10分で分かる ナノイーX教室」より)

 

 そしてもう1つの特徴が「OHラジカルはスキあらば他の物質が持つHをひったくろうとする」ので、OHラジカル発生器で生成され、空気中に放出されると、空気と一緒に漂う色々な物質から手当たり次第にHをひったくり、ごく短時間しかOHラジカルとしては生きられない。

実はOHラジカルはめっちゃ強い酸化能力を持っているものの、虚弱体質だから数ミリ秒しか生きられないというショボキャラなのだ。(笑)

もう少し科学的な話になるとこうなるが、難しくなってしまうので今回はここでやめときます。(出典:パナソニックのプレゼン資料より)

【ここでのポイント】

・OHラジカルは他の分子のHをひったくり相手を酸化する
・OHラジカルは非常に短命で、生きていられるのは数ミリ秒間
・「酸化」という現象が、除菌や脱臭をするという基本原理

ナノイー恐るべし

from Staff

今回の工場見学で改めて「ナノイー」について色々と教えてもらいました。

実は結構前から研究・開発があって今に至ってるみたいです。

「すっきり!!」って・・・

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この便座恐るべし

でもすごい進化やなぁ~~~

商品名は今でも健在です

ちなみに便座の左右のスイッチは何かの発射ボタン?

これ何を発射すんの??笑笑

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