賢い住宅ローンの付き合い方について(前編)
令和の時代の賢い住宅ローンの返済方法は「繰上げ返済をしない」&「長く借りる」では?
という切り出しから始めてみましたが、今回はそれについて解説してみます。
住宅ローンを決めるときに悩むポイントの1つとして「返済期間を何年に設定するか?」という点があるかと思います。一般的には定年まで、つまり「収入を得られる期間で、返済を終わらせておくことが理想的」だと言われますので、例えば定年が60歳であれば、ローンの返済も60歳までに終わらせることが賢い返済方法だと言われています。
その理由は「給料での収入がなくなり年金だけの生活になったとき、年金もきちんともらえるかどうか?もわからないのに、住宅ローンの支払いが残っていることはリスクが大きすぎるから」というものです。
ですから一般的には定年までに住宅ローンの返済を終わらせておくことが賢い返済方法だと言われています。また、住宅ローンの返済年数が短ければ短いほど、住宅ローンで支払う利息、つまり銀行への手数料が少なくて済みます。そのため住宅ローンの返済年数は短ければ短いほどいいと言われますが、返済期間を短く設定しすぎると、毎月の返済額が上がりすぎて払えないという問題が起こってしまうので、払える範囲内でできる限り短く設定することが賢い返済方法だと言われています。
例えば、返済年数が35年と30年であれば、返済する住宅ローンの利息は約76万円違います。
35年返済 | 30年返済 | |
総返済額 | 25,066,009円 | 24,299,488円 |
差額 | –766,521円 |
※フラット35、金利1.34%、借入額2000万円で比較
でも、本当に賢い住宅ローンの返済方法ってその考え方でいいの??
実は私はそうは思いません。
私は「住宅ローンは借りられるだけ借りたほうがよい」または「返済期間は長ければ長いほどよい」と思っています。それが本当に賢い住宅ローンの借り方であり、返済方法だと確信しているからです。
ちなみに住宅ローンの返済期間を短くするということは、月々支払う額を増やすということです。例えば住宅ローンを35年で組めば月々の返済額は7万円で済むのに、20年や25年で組めば月々10万円以上の返済になるかもしれません。ということは月々3万円以上も多く住宅ローンにお金を回すことになりますので、それによって住宅ローンを「早く返済する」ということが可能になるわけです。
先ほどの例で、返済年数を20年にした場合、毎月34,000円多く住宅ローンに支払う事になります。詳しく見て見ましょう。
試算した住宅ローンの条件は以下の通りです
住宅ローン借入額:2,000万円
- 返済方法:元利金等返済
- 金利
- 20年返済の場合:1.27%
35年返済の場合:1.34%
20年返済 | 35年返済 | |
毎月返済額 | 94,408円 | 59,681円 |
毎月返済額の差額 | +34,727円 | |
総返済額 | 22,657,806円 | 25,066,009円 |
総返済額の差額 | +2,408,203円 |
では、住宅ローンを早く完済する目的は何か?
住宅ローンを早く終わらせる目的は何なのか?と考えてみると、それは「将来、お金で困らないようにするため」とか「金銭的な安心を得るため」ですよね?そのために「住宅ローンの返済を早く終わらせて、手元に残るお金を多くしておきましょうね!」と言われるわけですよね?
でも、本当に「将来手元に残るお金を多くするために住宅ローンを早く返してしまうこと」や「返済年数を短くすること」が、一番よい手段なのでしょうか?
という事で、続きは後半で解説します。