変動金利が上がらないから変動金利を選ぶのか?
- 今後金利が上がらない方に賭けるなら変動金利
- 今後金利が上がる方に賭けるなら固定金利
これは誰もが一度は考える変動金利と固定金利の判断基準です。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気の落ち込みは、リーマンショックを超えるものだと言われています。
2008年のリーマンショックから15年がたちましたが、ゼロ金利政策で変動金利は下がり続けました。
「オリンピックで景気が上がるか?」と思われていた矢先にコロナショックの強烈なダメージを受けたので、さらに長期間にわたって不況が続き、住宅ローン完済まで変動金利は上がらないかもしれません。
しかし・・・・
あえて言いましょう。それは勘違いですよ~~
〇 コロナ禍に住宅ローンをスタートする人はある意味で幸運?
「あ~っ・・こんなことになるなら、家なんか買うんじゃなかった…」と思っていますか?
でも、よく考えてみて下さい。
これによって完全に収入を失ったり、命を落としてしまったりせず住宅ローンの契約、実行にこぎつけることができたなら、あなたは幸運だったと言えるのではないでしょうか?
住宅ローンは最長35年あります。
35年の間には、このコロナショックくらいの想定外は普通に何度かあるものですよ。そういうことを頭では分かっていても、自分で体験しないと本当の意味では分からないのが人間というものです。
ポジティブに考えるなら住宅ローンという長い航海の初めの段階で、この嵐を体験したうえで返済を維持し、今後の計画に生かせるのですから、それはすごい経験値となるはずです。
〇 本当に想定外のことが起こるという認識の重要さ
住宅ローンは最長35年です。
多くの人にとって自分の年齢よりも長いスパンであり、冒頭のように今後金利がどうなるか?について予想するのは意味がありません。
住宅ローンの計画はいわばヨットで太平洋を横断するレースの計画に似ています。途方もない距離です。「今後の金利」を読むというのは、スタート地点の港から風向きを計算するようなものではないでしょうか?
では、2020年のお正月の段階で、東京オリンピックが延期となり、志村けんさんがお亡くなりになられることを想定していた人が、はたして存在するでしょうか?
仮にいたとして、その当時に「そういうこともあり得る」と言ったところで誰にも相手にされませんよね?
しかし、今ならわかるはずです!!
本当にそれくらいのことは、これから35年の間には何度かあるのではないでしょうか?
〇 変動金利がすぐ上がっても大丈夫か?という視点
ですから、変動金利で借りる人は変動金利が比較的すぐ上がるということは、十分にあり得るということを認識し、それでも何とか大丈夫な住宅ローンの組み方をしておく必要があるのです。
ちなみにこれは「コロナがあろうと、無かろう」と同じことです。
新型コロナウイルスによって、全く変わってしまった世界を目の当たりにした人なら、そうした想定外をリアルなものとして考えられるでしょう。
〇 変動金利が上がったら終わり…ではない!
よく耳にするのが「うちはギリギリだから変動金利が上がったら終わりです」という言葉です。
しかし、プロの目からすると、そんなことは無いんですよね。ギリギリだったとしてもいくらか手立てはあります。
「どうせ自分じゃ分からない」とか「金利上がってしまったらもうアウト」という考え方はもったいないのです。
リスクは回避するものじゃなく「知り」「対策する」もの
わたしが推奨する方法はリスク回避ではありません。
リスクを回避できるなんて幻想です。
多くの人が変動か固定かで悩む理由の一つがこの「幻想」にあるのではないか?と思っています。
普通は「あるリスクを回避しようとすれば、別のリスクが持ち上がる」ものですから・・・
- 変動金利を選べば、毎月の返済額を最も低く抑えることができますが、今後上がるリスクがあります。
- 固定金利を選べば、金利が上がるリスクは無くなりますが、毎月の返済額が増えますので家計への負担が増え、老後資金を残せなくなるリスクが上がります。
あちらが立てばこちらが立たず。
こういう関係をトレードオフ関係といいます。
そんな中で大事なのはこの2点です。
- どういうリスクがあるかを知ること。
- そしてリスクに適切な対策を取ること。
どういうリスクか?がクリアに分かればわかるほど、その対策も明確にムダがなくなります。
〇 変動金利では自分が金利変動リスクを負う
金融市場の金利は日々変動しています。
つまるところ変動金利と固定金利の根本的な違いは金利変動リスクを誰が負うかということです。
- 変動金利:金利変動リスクを私たち=債務者が負う。
- 固定金利:金利変動リスクを金融機関=債権者が負う。
金利変動リスクをどちらが負うのか?という切り口から考えると、住宅ローンには変動金利(自分が金利変動リスクを負う)と固定金利(金融機関が金利変動リスクを負う)かのどちらかしか無いと言えます。
変動金利は債権者が自分の都合でいつでも金利を上げることができるから安いのです。
本日はここまで
(この記事は、千日のブログさんより引用させていただきました)