住宅ローンの審査が通らない理由(事前審査と本審査の対策について)
住宅ローンを利用するにあたり、審査に通らないケースや何らかの事態が発生するケースは少なくありません。今回は「住宅ローンの審査が通らない理由(事前審査と本審査)」について解説してみます。
住宅ローンの審査に不安があるとお悩みの方は、最後までお付き合いください。
そもそも住宅ローンの審査基準は?
住宅ローンの審査時に基準となる内容は以下の通りになります。
- 借入時年齢
- 現住所
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 他の借入の有無と借り入れ金額
- 新規の借入希望額
- 購入物件情報(中古・新築共)
ただし、金融機関によってはさらに細かい項目を確認するケースもあるため、これは一般的な審査基準としてお考えください。
住宅ローンの「事前審査」に通らない場合に考えられる事
住宅ローンの審査は「事前審査」と「本審査」の2段階となっており、事前審査を通過しなければ本審査を受けることはできません。
ではまず住宅ローンの事前審査に通らない場合に考えられるポイントを解説します。
- 転職後の勤続年数が著しく短い
- 他社の借入がある
- 完済時の年齢が80歳を超えている
- 個人事業主かつ収入が不安定
- 返済に関する滞納歴がある
- 借入希望額が極端に多い
- 返済実績がない(ローン利用やクレジットカード所持・使用等)
順番に解説いたします。
〇 転職後の勤続年数が著しく短い
転職自体が審査にマイナスとなることはありませんが、転職回数が多かったり転職後の勤続年数が著しく短かったりする場合は、審査が厳しくなることがあります。
ただし、グループ統合や転籍などにより保険証が切り替わり、結果的に勤続年数が短くなっている場合に審査でマイナスとなることはありません。また、ヘッドハンティングやスキルアップの為、また現在よりも年収アップの為の転職などもあると思いますので、まずは金融機関の担当者へ転職した理由は必ず伝えましょう。
〇 他社の借入がある
住宅ローン以外の借入がある場合「総借入額」が増えてしまいますよね?
金融機関の審査では「年間返済額と年収との割合」を重視するため、他社の借入がある場合は審査が厳しくなる傾向があります。
〇 完済時の年齢が80歳を超えている
住宅ローンの返済期間は「35年もしくは40年」で設定されていることが多く、その場合は完済時の上限年齢が80歳に近いといえます。そのため、職種や条件にはよりますが40歳を超えて融資を受ける場合には、返済期間が短くなるか、返済懸念として「審査否決」となるおそれがあるため注意は必要です。
〇 個人事業主かつ収入が不安定
「個人事業主」は、会社員よりも収入が不安定になるリスクがあると金融機関は考えます。そのため、確定申告書等で個人事業主として事業をされている中で収入が不安定であると判断される場合には、住宅ローンの審査クリアが厳しくなるでしょう。
なお、金融機関が個人事業主に対して「安定している」と判断する基準は、確定申告上「3期連続で黒字」かどうかです。
個人事業主は、経費と税金のバランスを最適化するために、あえて赤字の確定申告にするケースもゼロではありません。しかし、住宅ローンを組む予定の人は、確定申告の内容を黒字にすることから準備しておきましょう。
〇 返済に関する滞納歴がある
スマートフォンなどの通信業者や消費者金融、税金などの滞納履歴がある場合は、審査が非常に厳しくなります。事前審査を依頼し、1日以内に否決の連絡がある場合は、過去の滞納履歴が要因している可能性がかなり高いと考えられます。
このケースではいわゆる「ブラックリスト」に載っている可能性が高く、滞納額の返済月から最長約10年間住宅ローンが組めない事態にもなりかねません。
住宅ローンを利用されるのであれば、返済は滞納しないよう特に注意することが重要です。
〇 借入希望額が極端に多い
一般的に、年収に対して10倍以上の借入額は返済が厳しいと判断され、融資額の減額もしくは審査自体が否決となるケースが少なくありません。
また、購入物件の価格とリフォームを含めた諸費用の総額よりも、はるかに多い借入希望額で審査を受けた場合にも同様に減額もしくは否決となることがあります。
そのため、住宅ローンの審査の際には「借入希望額を現実性のある金額」で申し込みしましょう。
〇 返済実績がない(ローン利用・クレジットカード所有・利用等)
クレジットカードを全く使わない現金主義の人もたまにいますが、住宅ローン審査においては全く返済実績がない人の信用度が低くなる傾向にあります。
なぜなら、電子マネーやクレジットカードによる支払いは、現金よりも支払いがお得になることが多く「クレジットカードを使えない理由があるのでは?」と金融機関は考えるからです。
そのため、全く返済実績がない生活ではなく、光熱費や車のローンなどをクレジットカードで支払い、ライフスタイルに活かしていくことが重要です。
次に、住宅ローンの「本審査」に通らない場合に考えられる事
事前審査が通過すると「本審査」に進むことになり「本審査」では、購入物件の精査や納税の確認、健康状態のチェックなどがポイントとなります。
これだけでも「事前審査」とは、審査項目が大きく異なるため「事前審査」を通過しても「本審査」で落ちる可能性は十分にあります。
では、住宅ローンの本審査に通らない理由を解説してみます。
〇 事前審査の申告内容と本審査の申告内容が異なる
事前審査を通過した場合、本審査で事前審査の内容を再審査することになります。
万が一、事前審査の申告内容と相違する部分があった場合、金融機関側は融資の判断を慎重に判断する傾向があります。
たとえば、事前審査から本審査の間に消費者金融で借入をしたり、税金の滞納があったりする場合は確実に金融機関からの信用が落ちる結果となるでしょう。
そのため、本審査で落ちた場合は事前審査通過から本審査依頼までに何か変化がなかったかを確認することで、原因を特定できる可能性があります。
〇 事前審査から本審査までの期間に転職した
前述の通り、事前審査から本審査までの間に変化があると審査は厳しくなり、これは転職についても同じことがいえます。
グループ会社への転籍など、給与体系の変化がない場合を除き、転職は住宅ローン審査において「リスク」と捉えられます。
なぜなら、転職することで年収が変動する可能性があり「そのまま転職を繰り返すかもしれない」と金融機関は懸念するからです。
そのため、「転職」は、どの場合でも住宅ローン審査に大きな影響を与えると理解しましょう。
〇 物件の担保価値が低い
築年数が古い物件や再建築不可物件など、「担保価値」が低い物件を購入する場合は本審査で落ちることがあります。
担保とは、金融機関が融資する代わりに物件に抵当権を設定する「保険」のことで、債務者が返済不能になった場合に、物件を換金し返済に充てる際の価値を指します。つまり、担保価値が低い場合は「いざというときに回収できる返済額が少ない」といえるでしょう。
このように、担保価値が低い物件は事前審査の時点で判明することもある一方で、再建築不可物件は契約後に発覚するケースもあります。
そのため、住宅ローンを申し込んだ人の責任ではなく購入する物件が原因で本審査に落ち、物件を購入できないケースもありえるので、購入物件の状況は事前に詳しく把握しておきましょう。
〇 健康状態に問題がある
本審査では「団体信用生命保険の加入に必要な告知書」を記入する必要があり、告知書に記載されている病気の治療履歴がある場合は、本審査に通らないケースがあります。
また、健康状態は本人の申告ではなく、金融機関の告知書に該当するかどうかがポイントとなるため注意しましょう。
では、住宅ローンの事前審査や本審査に落ちないための対策とは?
住宅ローンの「事前審査」や「本審査」に落ちないよう対策することは可能です。
まずは以下のポイントを抑えておくと、スムーズに住宅ローンを利用して融資を受けられると思います。ある程度先の事も考えて、事前に準備することがとにかく重要です。
- 個人信用情報を事前に確認しておく
- 頭金を多めに用意して借入額を減らす
- ワイド団信やフラット35を利用する
- 親子リレーローンを利用する
- 金融機関を変更する
- クレジットヒストリーを構築する
- 他社の借入がある場合は完済後に申し込む
- 融資実行まで転職は避ける
- 購入物件を見直す
- 申告内容の齟齬や虚偽申告を避ける
では、順番に解説してみます。
〇 個人信用情報を事前に確認しておく
滞納履歴などに不安がある場合は「個人信用情報」を事前に確認しておくことが重要です。
「個人信用情報」とは、CICやJICCなどの国が認めた機関に依頼することで、自分のお金の貸し借り状況についての情報開示を受ける事ができます。審査を通すための具体的な対策ではありませんが、自分の個人信用情報に何らかの傷があるかどうか?を事前に確認しておくことで現状を把握できます。
ご自分の状況に少しでも不安があれば、まずは「個人信用情報」を公的機関に確認しながら、その原因を特定し、具体的な対策を練りましょう。
〇 頭金を多めに用意して借入額を減らす
頭金を多めに用意することで、借入額を減らすことも重要です。
金融機関が審査の否決を判断するポイントとして、申込者の属性や購入物件の担保価値などにおけるマイナスのリスクがあります。このようなマイナスのリスクを補うためには、頭金を多めに用意し融資額を減らすことが重要といえるでしょう。
また、頭金を使うか?使わないか?に限らず、金融機関側の不安を払拭できる意味では「見せれるお金」の存在は、かなり大きいです。
〇 ワイド団信やフラット35を利用する
「ワイド団信」とは、メガバンクや一部の金融機関などが扱っている通常団信より加入条件のハードルを低く緩和されている団信商品です。通常団信に該当するような疾病をお持ちの方でも加入できる可能性が広がる点が大きな特徴です。
またフラット35は、そもそも「団信加入義務」がありません。その場合、他に個人的に加入されている生命保険などで「もしもの場合」に借入された金額分を死亡保険金等でカバーできるのであれば、フラット35の利用も検討できると思います。
〇 親子リレーローンを利用する
親子リレーローンとは、二世代にわたって返済するローンのことです。返済期間が短くなる場合や、健康上の理由で団信が入れない場合に子供が補完できる特徴があります。
そのため、完済年齢に近い人が二世代住宅を検討する場合は、親子リレーローンも検討しましょう。
〇 金融機関を変更する
万が一、住宅ローン審査で落ちた場合に備えて、金融機関を変更することも対策の1つです。
金融機関の審査基準は共通している部分も多いですが、独自に審査する機関もあります。
たとえば、転職後の勤続年数が短い申込者だったとしても、転職先が地域密着の企業であれば地方銀行に相談することで融資を有利に進められるケースもあります。
このように、万が一審査で落ちた場合でも複数の金融機関で比較検討し、再チャレンジすることも手段の1つといえるでしょう。
〇 クレジットヒストリーを構築する
クレジットヒストリーとは、クレジットカードの利用履歴のことです。
たとえば、頻繁にクレジットカードで多額の買い物をしている場合や、逆に全く利用履歴がない場合においては、クレジットヒストリー的には金融機関の審査がマイナスとなります。
逆に光熱費や車のローンなど、毎月確実に返済する項目に対してクレジットヒストリーをしっかりと構築している分は、審査のプラス材料になる事も理解しておきましょう。
〇 他社の借入がある場合は完済後に申し込む
他社の借入がある場合は、なるべく完済後に審査を受けましょう。
前述したように、他社の借入がある場合は返済額が増加し、住宅ローン返済が厳しくなると金融機関に懸念されます。
仮に審査が通ったとしても、借入希望額から減額となるケースもゼロではありません。このような事態を防ぐためにも、他社の借入は完済してから審査を受けましょう。
もしくは審査の際に、融資実行前に必ず完済する「完済証明書」の提出を条件に交渉しましょう。
〇 融資実行まで転職は避ける
融資実行前の転職は、住宅ローン審査にとって大きなマイナスとなります。どのような状況であっても融資実行されるまでは、絶対に転職はしないようにしましょう。
また、融資実行後に転職した場合でも、金融機関からヒアリングを受ける可能性はある事は理解しておきましょう。なぜなら、金融機関側からすると収入の変動などの背景から、融資実行直後の転職が信用問題の調査対象となるからです。
そのため、転職と融資実行の時期は特に注意する必要があります。
〇 購入物件を見直す
前述の通り、購入物件の担保価値が低いと融資が難しくなるため、事前に購入する物件について調べておき、あらかじめ金融機関の担当者にも相談しましょう。
そして、融資が困難などの回答であれば購入物件を見直し、確実に融資を受けられる物件を選ぶことが重要です。
〇 申告内容の齟齬や虚偽申告を避ける
金融機関に提示する情報は、正しくわかりやすい内容にしましょう。
当然ですが、虚偽申告があった際には金融機関は審査に通さないことがほとんどです。
特に、団信の告知書に虚偽があった場合や投資用物件を住宅ローンを利用して購入した場合等、融資実行後に契約違反と判断され、融資の一括返済を請求されることを理解しておきましょう。
住宅ローンを申し込む場合は、利用理由を明確に、申告内容を正確に記載することが特に重要です。
住宅ローンの審査結果で、逆転して通ったケース
住宅ローンの審査を通す基準は「リスクとのバランス」が重要です。
そのため、申込者本人の審査結果が良くない状態であっても、実家が資産家であったり、銀行を事業用資金のメインバンクにしていたなどのケースでは、審査に通りやすいといえます。
何らかのプラス材料によって審査に通るケースはありますので、ご自分の情報は積極的に担当者へ伝えることが大切です。
〇 住宅ローンの審査に通らない場合の最終手段は?
住宅ローンが100%通る金融機関はありませんが、フラット35などは比較的審査が通りやすいとされています。
また、ノンバンク系の銀行も審査に通りやすいとされていますが、保証料や金利が非常に高くなるため注意が必要です。
〇 住宅ローン審査に通らない理由は教えてもらえる?
住宅ローン審査に通らなかった理由は、原則金融機関からは教えてもらえません。
なぜなら、審査基準は原則非公開となっており、個人情報に問題があった場合でも金融機関側も細かく正確な情報を把握できないからです。
そのため、審査落ちの場合、個人信用情報やこれまでの滞納履歴などを再度確認し、その審査に通らなかった要因と推測される項目を全て洗い出してから再挑戦するのか?また、状況的に少し時間を置くのか?
そのあたりは、何らかの対策をする必要があります。
そこは「株式会社 壱縁(いちえん)」に、まずはご相談下さい。